あたしもIT業界に就職してから早10年。
出向で沢山の会社のプログラマーやシステムエンジニアを経て色々な経験をしたわ。
今の仕事にやりがいを感じない訳じゃないけど、一生続けるのかと言われると・・・素直にはうなずけないのよねえ。
正直、将来的な事を考えるなら派遣されるんじゃなく「社内SE」なんて狙っちゃおうかなーなんて密かに思ってたのよ。(こないだ占い師にも似た様な事言われたし。)
でも・・・
なにやら社内SEになるのって、競争率高くて難しいって言うじゃない!
あたし、ラヴ&ピースな女だから、競争とか戦争とか無理なのよっ!
こうなったら、カンボジアで地雷撤去の仕事でも探そうかしら・・・
それとも、頑張れば社内SEも夢じゃないのかなぁ?
こんな疑問にお答えします。
本記事の内容
本記事の信頼性
記事を書いている現在の年齢が
40歳でIT業界歴 20年。
現役のプログラマーであり会社の経営もしております。
サラリーマン時代の最後の就職先では社内SEとして働いていました。
結論・「社内SE」への転職は難しい!
ある程度、客観的に評価出来る実績がなければ、なかなか難しいです(酷)。
ってのはちょっと待ってみましょうか。
まあ、難しい・難しいとは言いつつも、正直「今から菅田将暉に出会って恋に落ち入籍」とか「今から俳優デビューしてミッションインポッシブル次回作の主演をトム・クルーズから奪う」とかってレベルの荒唐無稽な話ではありません。
もちろん、貴方の経験や年齢にもよりますが、
決して「特別な人」だけが就ける職業ではないのです。
・・・ってのも、ちょっと待ってみましょうか(苦笑)。
そもそも、「社内SE」がどんな仕事をしているのか貴方はしっかり把握しているでしょうか?
人気の高い職種だという事実だけで「良い仕事」だと捉えていませんか?
もちろん魅力的なメリットは沢山あります。
ですが、苦労して社内SEになったのに、辞めてしまう人もいるのは紛れもない事実ですし、私もその内の1人です。
まずは、「社内SE」を目指す前に、具体的にどんな仕事をしているのか、どんな能力が必要とされるのかなどをよく知る必要がありますね!
社内SEってどんな仕事をしてるの?
「社内SE」。
改めて、何度も文字に起こしてみると、ちょっと違和感のある文字面ですねー。
近い印象を受けるのは
「OK牧場」
もしくは
「失神KO」
くらいですかね(真剣)。
うちの妻も含めて、IT系以外の方には職種名であることすら分からないんじゃないでしょうか。
我々、IT業界の人間からすると聞き慣れた言葉ですが、それでも、会社において具体的にどんな作業を担当しているかとなると、人によって結構認識にズレがあったりしませんか?
というのも・・・
社内SEの仕事の幅って、めっちゃくちゃ広いんです!
というのが通り名ですが、その仕事内容を簡単に思いつくところでざっと並べてみても、
- パソコンやスマホのトラブル解決
- IT機器・ソフトウェアの運用・管理
- セキュリティ管理
- 基幹システム管理
- ITによる業務改善
- システムの開発
- システム戦略
・・・って多すぎるじゃん!
ってツッコミが聞こえてきそうですね。
システムエンジニアはプログラマーと比べると作業内容が多岐に渡る、という話を別ブログでもさせて頂きましたが
プログラマーとSEって何が違うの?
多少パソコンについて知識のある人ならば対応できる、いわゆる「ヘルプデスク的な仕事」から、
といった高度な作業まで含まれています。
ただ、ここで強調したいのは日本中のあらゆる社内SEが、上記の仕事を全てやっているわけではないという事です。
どういう事なのかと言いますと、
という状況があるんです。
ある企業では、上記のほとんどをこなしている
- もう一方の企業では、一部のみを専門的に担当しており、他は他部署の社員が担当したり協力会社に依頼したりしている
といった具合です。
地方や田舎に所在する、IT企業としての専門性が低い企業だとヘルプデスク、首都圏でバリバリITに特化した企業ですと高度な作業担当、といった傾向もありますね。
これが、「社内SEの作業内容に対する認識のズレ」を生んでいる大きな理由であり、かつ「せっかく努力して社内SEになったのに辞めてしまう人がいる」事の理由でもあります。
そもそも、なんで転職するのが「難しい」の?
就職や転職が難しいって言われてる仕事って世の中に色々ありますけど、そもそも、なんで難しいのかって考えると、理由は色々ありますよね。
「資格を取るのが困難」
「ある程度のスキルが必要」
などなど。
で、社内SEへの転職がどうして難しいのかと言いますと、主に
- 競争倍率が高い
- 仕事内容の幅が広く、求められる能力が多岐に渡る
があげられます。
始めから「目標のハードルがいかに高いか」を話してしまうと出鼻を挫かれた気分になるかも知れませんが、ドントウォーリー。怯えないでください。
「何故難しいのかを具体的に把握」し、「自分自身の経験や能力を客観的に分析」すれば、「どう備えれば成功できるのか」、が見えてくるはずです。
敵を知り己を知れば百戦危うからず。
①競争倍率が高い
仕事に限らず、みんなが欲しいものは手に入りにくいですよね。みんなが欲しがっている時点で「素敵なもの、魅力のあるもの」である事はほぼ確定しているわけですから。
何を置いても、社内SEへの転職が難しい一番の理由は、
です。
転職希望のエンジニアのうち、実に70%以上が社内SEへの転職を望んでいて、そのうち20%しか成功しないとも言われております。
いかに人気が高く競争が激しい職種なのかは想像がつくでしょう。
さらに、転職を希望しているのはズブの素人ではなく、大なり小なり業界での経験を積んだ猛者達です。
数の面でも質の面でも大変な競争になります。
②仕事内容の幅が広く、求められる能力が多岐に渡る
というお話をしましたね。
という事は「総合的に高い能力が求められる」事は想像がつくでしょう。
何か一つの作業においてのスペシャリストでは務まりません。
そう、カートに乗れて野球もテニスもゴルフもバスケも出来て、大空を舞い、炎を吐き、なんなら時にはお姫様の救出まで担当してしまう・・・
「スーパーマリオ氏(国籍及び年齢不詳)」くらいのオールマイティなスキルが必要とされるわけです。
(※みんな大好き、スーパーマリオ氏の最新作は こちら!)
役職が自分より上の人間から新人まで。
ITに知識のある社員からそうでない人まで。
社内のあらゆる部署との繋がりがあるので、高いコミュニケーション能力、システム開発における全ての工程に関する知識が必要になってきます。
社内SEの魅力
仕事内容が多岐に渡り、加えて仕事に就くのも難しいとわかっていながら、何故皆さん、社内SEを目指すのでしょうか?
当然そこには、社内SE特有のメリット、「SE」と名前のつく別の職種には無い魅力が存在するからです。
社内SEが魅力的! と言われる理由は主に以下の2点です。
- 常に自分の会社で仕事が出来る
- 自分の手掛けた仕事の功績や反応をダイレクトに知ることが出来る
これらがいかに魅力的なメリットなのか、具体的に想像してみましょう。
①常に自分の会社で仕事が出来る
「社内SE」という名前からも明らかですが、この職種は「自分の所属する会社内の仕事」をしています。
転じて、同様に「システムエンジニア」と呼ばれる仕事であっても、いわゆる「SES」のエンジニアだと、お客さんの会社に常駐し、そこでのシステム開発が終了したら次の職場へ・・・という状況が繰り返されますよね。
大抵は数ヶ月毎に勤務先が変わるので、通勤時間が変わり、勤務時間も変わり、担当者まで変わり・・・。
(※SESのエンジニアの苦悩についてはこちらのブログ)
案件ガチャの現実【会社員時代ガチャを10回以上回しました。】
こういったストレスから解放される、と考えると、これは確かに大きな魅力ですよね!
②自分の手掛けた仕事の功績や反応をダイレクトに知ることが出来る
社内SEの仕事はピンからキリまでありますが、例えばヘルプデスクの様な初歩的な作業でも、困っている「自分の会社のスタッフ」をサポートするわけですし、高度なシステムの開発に携わった時も、そのシステムを使うのは同じ会社の仲間達です。
というのはどこの業界でも言われる事ですし、自分が苦労して開発したシステムや練りに練った戦略が、自分の会社にどの様に影響を与えていくのかをすぐ近くで見る事が出来るのは、この上ないモチベーションを生むことでしょう。
逆に、問題点や反省点があったとしても、それを直接的に知る事が出来るので、それ以降に自分の能力を高めるための肥やしとして取り込む事ができます。
2つ、社内SEの魅力をお伝えしましたが、包括しますと同じ「SE」と名前がつきながらも、一般的なSEの多くが「嫌だなー」と感じている、普遍的なデメリットが社内SEには少ない(と、思われている)。
これこそが、この職種への転職を望む人が多い最大の理由と言えるでしょう。
社内SEのデメリット
と考える方も少なからずいらっしゃるでしょう。
しかし、残念ながら、頑張って社内SEに就く事が出来れば、バラ色の人生が約束されている!というわけではありません。
極端な話、「現職と比較し、あらゆる点において利点しかない」という転職先などは存在しないのかなと感じますが、
と断末魔の叫びを上げ、すぐに辞めてしまう人までいます(おれだ俺だオレだっ!)。
私も、苦労の末にSESの会社員から 社内SEへの転職を果たした過去があります。
地元では老若男女、知らないものがいない有名企業に見事転職を果たし(輝)、この会社に骨を埋めるくらいのつもりでおりましたが、その企業で社内SEとして働いた月日は、
・私の人生においての暗黒期
・更に言えば地獄の極み
といっても過言ではありません(慟哭)。
お恥ずかしながら、私はこの職を半年足らずで辞めています。
私の様な人間の二の足を踏まないためにも、本当に社内SEを目指す前に、そのデメリットやリスクについても知っておくべきでしょう。
それでは、私のケースも含めて、どんなデメリットが起こりうるのかを考えていきましょう。
仕事内容が予想と全然違って参っちまったぜ
冒頭にも書かせて頂いた通り、社内SEの担当する仕事内容はとっても幅広く、加えて、入社した企業によって与えられる業務がバラバラであるわけです。
となると、
という状況も生まれます。
社内SEの求人は比較的、数が少なくかつ人気があるため、求人を見つけたらあまりリサーチをする事なくすぐに飛びつき、採用されてから「あれ?」となるケースが少なくありません。
自分の培った高度な能力を活かして会社に大きく貢献したい・・・と思っていたら、
などの対応に追われる毎日が待っていた・・・。
コレではいくら好条件でも、モチベーションを保つのは無理ですよね。
仕事内容が予想と違ったが故に残業時間も想像より多かった、なんてケースも聞きます。
人間関係で身も心も砕かれてギブアップだぜ
まあ、やりがいも収入も、仕事を続ける上では重要なファクターですが、こと会社に雇われて仕事をするとなると、1番大切なのは「人間関係」ではないでしょうか。
人生のほとんどの時間と途方もない労力を注ぎ込み、同じ目標に向けて共に歩んでいく同志達との関係が「ガチで劣悪」だったとしたら、絶望的ですよね。
SES会社のSEは、ある程度の期間で勤務先が変わる事が多いので、その度に担当者も変わり、時にはひどく気難しい担当に当たることもあるので悩みがつきません。
しかし、逆に言えば
わけですし、つまるところ
・どんなにきつくても数ヶ月(長くても1~2年)経てば、状況が変わるという現実があります。
しかしながら、社内SEにおいて、人間関係の構築に失敗したら
と言われています。
顔を見るだけでヘドが出るほど嫌悪する人間と、毎日毎日、何十年も一緒に働いている勇者が、少なからずいるのです(轟)!!!
・・・そして、残念ながら、私は勇者になる事は叶いませんでした(涙)。
学生時代も人間関係のトラブルはほとんど経験しなかったので、30過ぎて登校拒否になってしまう生徒の気持ちが痛いほど分かりました。
人付き合いは、相手によって正解が異なるので、どんなにコミュニケーション能力に長けた人でも必ずうまくいくとは限りません。
今まで人間関係でつまづいたり悩んだりした経験のない人ほど、失敗した時に這い上がるのは難しいんじゃないでしょうか。
社内SEになるためにはどんな準備をすればいい?
気持ちがしっかり固まっているのであれば、最後に
をお話し致しましょう。
面接の準備を万全に。
そもそもエンジニア系の仕事に就く人達は他業種に比べるとコミュニケーション能力に難がある人間が比較的多い傾向があると言われています。
それが事実かどうかはひとまず置いておいて、そもそもが高いコミュニケーション能力を求められる職業です。
社内のあらゆる垣根を越えて関係を作らなければならないのに、面接官とのコミュニケーションが取れないのでは箸にも棒にもかかりません。
ある程度の年齢になってからコミュニケーションを能力を向上させる、というのは少々難しいと感じるかも知れませんが、
というのがおすすめです。
そもそもが本番(本命の企業)の前にリハーサルが無い、というのは危なっかしいですよね。
この機会に色々な企業を見てみる、というのもいい経験になるはずです。
ちなみに、これまた僭越ながら、私は企業の面接官としての経験も多数ありますので、少しだけ、具体的な面接のアドバイスも致しましょう。
面接で聞かれる事は数限りなくありますが、その質問の意図は全て
- 貴方が何をしてきたか、どんな人間か(貴方の「今まで」)
- 貴方が会社に対して何が出来るのか、何がしたいのか(貴方の「これから」)
を聞き出す、というところに尽きます。
まずは自己分析です。
中途採用である限り、企業は即戦力としての雇用を狙っているはずです。
将来性やポテンシャル云々よりも今現在の能力と経験をアピールしなければなりません。
今一度、自分自身について一から振り返ってみましょう。
というのもオススメです。
書くのが苦手でもいいんです。文章は稚拙でかまいません。
質問が予想される事柄への答えだけを用意しようとすると、意図せぬ質問に対応できません。
面接には関係ないと思われる部分まで自己分析する事で、どんな質問にも筋の通った回答ができるはずです。
更に志望動機もしっかり固めておきましょう。
「志望動機」の意味を履き違えている方は非常に多いですが、こと、面接においての「志望動機」は、
ではなく、
です。
という事は、その企業の求める人材についてしっかり把握しておかなくてはいけません。
自分の得意分野だけあれこれ並べてみても、その企業が求めている能力でなければアピールになりませんからね。
ここまでは新卒の面接対策と変わりませんが、中途採用ですと、
も特に重要です。
志望動機を固める事にもつながりますが、その会社について可能な限り下調べしておきましょう。
当たり前の事のように聞こえるかもしれませんが、
という状況のため、求人を見つけた時点でたくさんの転職希望者が飛びついていきます。
しかしながら、社内SEの仕事内容は企業によって大きく異なるので、企業分析を怠ると失敗しますし、逆に言えば、
はずです。求人票の内容すらろくに把握しないまま面接に来る方もいます。
彼らに差をつけて、面接担当官に貴方の「本気」を伝えるためには、貴方がその会社についてよく調べ上げ、事業内容を把握し、その上で共に働く事を望んでいると伝えなければなりません。
社会人未経験の若者だとしたら、業界の知識はまだ無くても魅力のある人間は雇われるかも知れませんが、社会人経験者はそうはいかないのです。
経験値やスキルを上げる
「経験値やスキルの高い人材」を求められているのに、貴方に「経験値やスキル」が不足しているのだとしたら・・・
「経験値やスキルを上げる」しか無いですよね(微笑)。
今の職場でなら言う事ないですが、難しいようなら思い切って別の会社に転職して、システム開発の上流工程やリーダー、可能ならばITコンサルタントなどの仕事を担当し、
事から始めましょう。
遠回りに感じるかも知れませんが、何の計画性もなく転職活動を続けるよりもゴールにたどり着く可能性は高くなるはずです。
業界未経験の方は・・・
はっきり申し上げましょう。よっぽど特別な何かがない限り、
「菅田将暉との結婚」とまでは、言いませんが、「星野源と手を繋ぐ」くらいの高難易度です。
というわけで、唯一の解決法は「未経験」を「経験済」にするしかないので、スクールやセミナーに通ってプログラミングスキルを身につけたり、SEやPGとして就職して経験を積んでから社内SEを目指すのが現実的です。
転職エージェントの利用
そもそも求人数が少ないので、一人きりでの戦いでは限界があるかも知れません。
業界内の知人からの紹介が有れば一番良いのですが、そうでなければ ↓のような
転職エージェント
を利用するのもオススメです。
その企業についてや求人についての知識が不十分ですと、転職自体が難しいばかりでなく、
可能性も高いので、スペシャリストに相談するのは良い手ですね。
知らずにブラック企業を選んでしまうリスクも避けられます。
さいごに
色々な側面について書かせて頂きましたが、私が1番伝えたいのは
をまず考えるべきだ、ということです。
右にならえの日本社会では「周りが良いと思うものは自分にとっても良い」と無意識に思い込む傾向があります。
「転職活動を成功させるため」だけではなく、「転職が成功した後も後悔なく働き続けるため」に、「その企業においての社内SEがどんなものであるか」については全力でリサーチするべきです。
「面接」も、貴方にとって相手の企業を計る絶好の機会です。
面接を適当にやってる会社はたくさんあります。
IT業界に限らず、人事を適当に行う会社は長続きしません。
もちろん、企業が貴方を品定めしているわけですが、貴方も「自分が働き続ける価値のある会社かどうか」をしっかり見定めて下さい。
男女関係においても、肩書きや周りの評価に気を取られ、その人の本質を見ようとしなければ、素敵な相手には巡り会えませんよね(何の話じゃ)。
社内SEは貴方にとって、生涯の伴侶になれる存在なのかどうか。
時間をかけてゆっくり考えてみましょう!